1月28日 月

f:id:kapparikishi:20190206194524j:image

午前中に起床。

窓を開けたら、スカッとしていい感じの空気だった。寒いけど、気持ちいい。唐突に、おれは自由な鳥なのだなどという妄想が頭を掠め、自転車に乗って、延々と走ってみた。甲州街道をひたすら北上し、多摩川まで出て、河原でしばし呆然とした。この河原に、巨大な板を垂直に一枚、埋めたことがある。

大学一年生の秋頃だった。今は現代美術の作家となった友人光藤の、それは初めての作品だった。『風景に、付箋を貼る』。奴はそう言った。縦2メートル横1メートルほどのベニヤ二枚でガラスを挟み込んだ。ガラスはベニヤより50センチほど背が高く、挟まれたベニヤの間から、チョコンとはみ出して、遠目からみればそれは確かに付箋に見えないこともなかった。それを地面に穴を掘って埋め、自立させるという作品だったが、光藤は今と変わらぬヒョロガリの虚弱児で、多摩川の土をスコップで掘るにはまるで体力が足りていなかった。そこで俺が、穴掘り屋として呼ばれたのだ。高校2年の冬休み、土建屋でバイトをしていた俺の部屋には、現場からくすねてきた巨大なスコップがあったのだ。部屋に遊びにきた際、奴はそれを見逃さなかった。決行の前の晩、光藤の家に泊まり込み、翌朝から河原の土を掘った。60センチくらい掘ったと思う。ベニヤを穴に入れ、土を戻し、見事に突き刺さった頃には、日がとっぷりと暮れていた。光藤は上機嫌で、焼肉を奢ってくれた。その夜も泊まり、風呂に入り、芸術の話をいろいろ聞いた。それから暫くして、フと、あの『付箋』どうなった?と聞くと、ゴミとして撤去されたという。写真を見せてくれた。『これを不法投棄とみなす』という内容の自治体の警告文が、ガラスの中央部に貼ってあった。

というような感傷的な思い出をなーんか、思い出しちゃったな。日が高くなってきたので、来た道をまた漕いで、スーパーで買い物しつつ、部屋に戻る。鯖を焼き、豚肉とじゃがいもで肉じゃがを作る。四谷へ移動して、野上さんと落ち合って、会議室でスケジュールの相談。レギュラー外す代わりに、一本メインで入る仕事を入れられる。ま、仕方なし。そのまま会議室借りてレイアウト作業していると、メッセンジャーで松村から連絡あり。新宿で作業中だが、監視しつつ話でもどうかという。付き合ってるのか、俺たちは、と思うが、まあ行く。アルタ前のルノアールで会う。写真のレタッチ作業を見守りつつ、与太話。また餓狼伝説の話。昨日、田村さんの撮影をしたという。芝居の応募に使う写真かなー。一緒に何枚か選ぶ。23時までにレタッチ終わらせて、ビックロに飛び込む!と頑張って、23時53分に店を飛び出していった。10分後に帰ってくる。間に合ったらしい。23時半に帰宅。

カノン、アオイのエピソード、もう一つアイディアが欲しい感じだが、まとまらず。オーディション〆切も迫っているが、追加応募はなかなか現れず。なかなか思うようにいかないものである。

『科学者と魔法使いの弟子』読了。