1月24日 木

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5時45分に新宿着。
バスタの4階で待っていると、江花さんが片腹と一緒に来た。一瞬、片腹も一緒に大分まで行くのかな?と思ったけど、単なる見送り、とのこと。朝6時に見送りにくるとは。実はこないだ、猪飼さんとダーリン出た後にも、片腹とすれ違ったんだよね。江花さんに、唐揚げ持っていってあげようと思って、って…。うーむ、ストーキングが少し過ぎるかなー。別れて執着が強まっているようだ。死後強くなる念と同じである。江花さんはまあ、気にしてないようなので別にいいか。他人のことである。放っておくに限る。片腹から、ストロングゼロの姉妹品のようなアルコール9.9パーセントの酎ハイ貰うが、朝からそんなものは飲めない。江花さんのリュックに詰めてもらう。
時間になったので、片腹と別れて出発する。車内でふっと意識が飛んだと思ったら、もうそこは羽田空港だった。7時ちょうど着。チェックインカウンターに行く。今はぜんぶ、機械なんだなー。手付きをすませると9時45分の出発までやることもないので、江花さんと空港内をウロウロと視察して回る。テンション上がってきた。俺が好きそうな喫茶店をさっき見た!と江花さんがいうのでウロつくが、ない。幻だったらしい。大人しくスタバに収まる。どうでもいい話をダラダラとする。人生で一番無為な時間かもしれない。最高である。丸尾さんも執拗に江花さんを口説いているらしい。ストーカーを育てる女である。8時を過ぎたので、搭乗口へ。飲み物、ペットボトルの水は中身をチェックされるが、酎ハイはノーチェック。うーむ、炭そ菌テロなら缶に詰めていけば成功するな。席は縦列で別々だった。そっか、チケット申し込んだときにネットで席予約ができたのだな。まあどうせ寝るだけなので問題ナシ。離陸するときは割と興奮した。10年ぶりくらいかなー空を飛ぶのは。一度浮いてしまえば、携帯も使えて、Wi-Fiも完備である。思わずメールチェックなどしてしまう。前に飛行機乗ったときは、携帯すら持ってなかったからね。テクノロジーの進歩を感じるのだった。しかしすぐ瞼が重くなり、意識が混濁した頃には、もう着陸だ。アッという間に、大分である。空港に足湯がある。

江花さんが、トイレ行くというので、その隙にバスのチケットを買い、勢いで、足湯にも浸かってしまう。しかし、なんか、一瞬のスキをついて湯につかるというのが、浅ましいように突如思え、江花さんが戻ってくる前に足を引っこ抜き、シレっとする。東京から、大分空港までは1時間半だが、大分空港から大分駅までが、1時間かかるのだった。大分、なんか申し訳ないが、田舎~ってかんじだ。茨城、みたいな感じだ。怒られるかな。両県人に。なんだかんだ、12時過ぎに大分駅着。道、広い!人、いない!散策しようにも、商店街一個歩いたらあとは果てしなく車道、という感じなので、取りあえず飯を食うことにする。商店街のテキトーな定食屋だが、観光客相手の店なのかな?とり天を食べたが、大変美味しかった。そして店のお姉さんが美人だった。江花さんは、もずくの天ぷらとか、なんか渋いのをいろいろ頼んでた。旅行だし、休日だし、ということで、ビールを一杯飲む。昼に飲むビールは最高。丸尾さんから江花さんへ連絡きて、なんと!丸尾さんは大分到着した途端、インフルエンザになってしまい、誰とも会えないそうだ。出歩くこともできない。酒も飲めない。哀れすぎる。何をしに来たというのか。午前中にあった、ラジオドラマの講義はテレビ電話を会場と繋いでこなしたそうだ。仕事だけする。悲しすぎるだろう。
食べ終わって、ホテルのチェックイン時間の15時までまだあったので、先に会場のホールまで行き、受付をすます。プログラム貰うところに、かもめでお世話になった河口さんがいた。なんか、劇作家協会員として便宜図ろうとしてくれたが、いや、入ってないんです、協会。純粋なる客です、というと、それはそれは、と言われた。なかなかいないんだろうな、やっぱ。呼ばれてもないし、協会員でもないのに、大分まで来るやつ。ま、いい。江花さんが、つかこうへい関連資料の常設展示みたいというので付き合う。
ぜんぜん大したことなかったが、同時に展示されていたのが宮本研だったので個人的に盛り上がった。LABOで一回、取り上げようとして、棚上げになっている「メカニズム作戦」の、当時もののポスターが展示されていたが、剥き出しで、両面テープで、直にパネルにくっつけてあって卒倒しそうになる。俺が持って帰って保管する!と思った程。しかし写真撮影も禁止なのだった。そんなにセキュリティーに気を配る前に、保管状態を考えろよと思った。ヒドすぎる。会場の隅っこで、紀伊国屋が戯曲を売っており、まあ大抵はどこでも買えるものだが、「琵琶伝」が当時初版で出たままの新刊状態、デッドストックもちろん定価であったので即買い。岸田戯曲賞を読む、やってて良かった。ほかに「髪をかきあげる」プリントアウトしたものをバインダーに入れて500円で売ってたので、これは明日、買える前に買おう。
15時になったのでホテルへチェックイン。江花さんとは18時に待ち合わせて、10分後には既に温泉にいた。15時に開いたばかりで、一人である。最高。マジで最高だ。
と、ここで「屋上露天風呂」の表記を見つけ、ビルの屋上にすっぽんぽんで立ち尽くした話は、サイトのノートに書いたので、割愛。ともあれ、部屋に戻り、18時まで眠ろうかと思ったが、「琵琶伝」ちょっと読み始めて、すーっと最後まで読んでしまった。うーむ40年、誰にも触れられることもなく眠っていた戯曲が、1時間足らずで読まれてしまうというのも、諸行無常を感じる。メッセンジャーで永井や桑原、松村などに「大分にいるよ、いえーい」などと自慢する。景気づけに、朝、片腹に貰った酎ハイを一気に飲み干し、布団に倒れこむと、5秒後には2時間後だった。待ち合わせの3分前である。着替えてエレベーター乗ると、江花さんも乗っていた。
ホールの会議室で、北村想さんの話聞く。想さんは、まるで仙人であった。ノラリクラリと、一見テキトーに、その実かなりハードコアなことを喋っていて面白かった。
しかし、だ。席の一番前に座っていた劇作家会員のやろうが、話を聞いておらず、これみよがしにバタバタとパンフレットを音を出してめくり、あまつさえ、バチバチと結構な音量の打鍵音で、パソコンを叩き出したのだ。どうも戯曲を書いているようだ。これは明らかな恣意行為、自分が特別な人間であることを会場中にアピールする行為だ。想さんの話に、鼻で笑ったりしている。本当に、ぶん殴ってやろうかと思った。後で名簿を見たら、ゲンロンカフェなどにも登壇するリッパな方らしいが、こういう奴がこの世で最も愚かなバカである。終わったあと、江花さんも憤慨していた。最悪。
気を取り直して、夜の街へ出る。しかし、大分、夜が早い。結構な店が、19時で終了である。ちょっとディープっぽい盛り場へ行くと何件か店は開いていたが夜景の隙間から、いきなり、イルミネーションでふちどられた、城が現れた。それがなんというか、2Dなのだ。平面だ。絵に描いた城のようだ。どうなってんだ、あれ?と江花さんと恐怖したりした。いい感じの海鮮居酒屋風があったので入る。関サバ、関あじ、魚のコロッケ(魚ロッケ)日本酒、焼酎ぜんぶうまい。ぜんぶ最高。ご機嫌になっていると、江花さんが隣のダンディーな客を指し、こっそりと「あれ、伴さんじゃない?」と。かもめでお世話になった、脚本家の伴さんではないか、と言うのである。んー似てる、ような。でもどうかな、違うかななどとコソコソしてると、劇作家大会のパンフを見だした。それで江花さんが「あの~」と声をかけると、その通りであった。本当に偶然、この店に入ったというのだ。聞けば宿泊しているホテルも同じだという。
すっかり盛り上がってしまい、店を出てコンビニで酒を買い、俺の泊まっている部屋で宴会が始まってしまった。江花さんはあっという間に酔っぱらい、伴さんの髭をなで、おなかを撫でて、やがていびきをかいて倒れた。その後、俺は伴さんとたぶん小一時間くらい喋っていたが、正直、会話の内容はまるで覚えていない。伴さんが自室に戻ったので、ホントは男性立ち入り禁止の女性フロアまで江花を引きずっていき、部屋に放り込み、自室に戻って気を失った。一瞬で、大分の夜は消えた。
『琵琶伝』読了。